舌下免疫療法外来

舌下免疫療法ご希望の方へ

舌下免疫療法について

抗原特異的免疫療法は、アレルギーの原因となる抗原が入った薬を少量から投与し、体に慣れさせることでアレルギー症状を治療する方法です。抗アレルギー薬などの飲み薬による治療は、アレルギー症状を抑える、いわゆる対症療法ですが、この免疫療法では根本的な改善につながる可能性のある治療法となります。以前より、皮下注射による免疫療法を行っていますが、舌下免疫療法が登場してからは、安全に自宅で行うことができる治療として主流になっています。

 

舌下免疫療法は、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎またはスギ花粉症と確定診断された方が受けることができます。両方の症状がある方は、2種類を同時期に開始することはできませんので、まずどちらを優先して行うかを症状や検査結果などから総合的に判断する必要があります。一方を開始し、治療に慣れてから(数か月等)、他方を併用していくかどうかを検討することとなります。

次のような方に特にお勧めします

  • 根本的な治療を希望する方
  • アレルギーの治療薬を少しでも減らしたいと思っている方
  • 抗アレルギー剤の副作用(眠気等)がでやすい体質があり、内服することが難しい方
  • 将来的に妊娠、出産を希望される女性の方
    (妊娠、授乳期は薬物治療が制限されるため)
  • 小中学生、高校生のスギ花粉症の方
    (受験シーズンがスギ花粉症の時期と重なるため)

外来受付時間(予約は不要です)

  • 耳鼻咽喉科外来・・・・・・・・・・・・ 月~金曜、受付11時まで
  • 小児科外来(15歳以下)・・・・・・・・・ 月~金曜、受付11時まで
  • アレルギー科外来(16歳以上)・・・・・・ 木曜、受付11時まで

気管支喘息治療中の方や食物アレルギー、アトピー性皮膚炎等、他のアレルギー疾患の合併がある方は、小児科(15歳以下)あるいはアレルギー科(16歳以上)と耳鼻咽喉科とで連携して加療を行います。

他のアレルギー疾患の合併がない(あるいは軽度)場合は、耳鼻咽喉科のみで行います。ご不明な点がありましたら、お電話(092-565-5534)で各外来へお問い合わせください。

ダニ、スギ花粉に対する舌下免疫療法

対象者

  • ダニによる通年生のアレルギー性鼻炎、あるいはスギ花粉症と確定診断されている方

舌下錠に年齢制限はありませんが、当院では5歳以上を目安としています。
症状については軽度から重症まで、程度には関係なく行うことができます。(すでに確実な診断がついている場合は、検査所見を持参していただくとよいと思います。)

方法

舌下錠を舌の下に置き(錠剤はすぐに唾液で溶けて数秒でなくなります)、1分間嚥下せずにそのままの状態を維持した後に、飲み込みます(その後5分間は飲食しない)。飲み込むことで喉の奥に痒みが出やすくなる場合は、吐き出しをお勧めすることがあります。飲み込むことで効果が出現するわけではなく、1分間舌下に置くことが治療ですので、その後は飲み込んでも吐き出しても効果には影響しません。これを1日1回、少なくとも2~3年間なるべく毎日(週5日以上が目標)続けます。

 

ダニ舌下錠は3,300 JAU、10,000 JAUの2種類、スギ舌下錠は2,000 JAUと5,000 JAUの2種類あります。初回(ダニ舌下錠では3,300JAU、スギ舌下錠では2,000JAU)の投与は病院で行い、服用後30分間外来で経過観察を行います。問題がなければ翌日から自宅で毎日行います。1週間後に受診していただき、特に問題がなければ増量(ダニでは10,000 JAU、スギ舌下錠では5,000 JAU)を行い、自宅で継続していきます。

 

スギ花粉舌下錠については、スギ・ヒノキ花粉飛散期に治療開始することはできず、花粉飛散終了後、花粉症の症状が落ち着いて少し経過した6月以降で治療を開始することができます。また効果が現れるのに最低3カ月はかかりますので、6月から10月の間に開始することをお勧めします。開始したら、花粉飛散している時期も含めて1年を通して継続します。

 

ダニ舌下錠については、時期の制限はなく、いつでも開始できます。

副作用予防のため、服用前後2時間(あるいはそれ以降も初期は注意が必要な場合があります)は、激しい運動、入浴、アルコール摂取を控える必要があります。

副作用

従来の皮下注射法と比較して、副作用の頻度や程度はかなり軽く、自宅で安全に行うことができる治療となっていますが、心配な全身副作用であるアナフィラキシーが起こる可能性が「0」ではありませんので、体調の悪い日は避け、服用前後2時間の激しい運動、入浴、アルコール摂取を控え、量を間違えずにスケジュール通りにきちんと行う必要があります。

 

多い副作用は、口の中やのどの腫れた感じ、かゆみ、刺激感、不快感、耳のかゆみ、吐き気、頭痛などです。多くは服用後30分以内に起こり、数10分で自然に治まります。また1~2ヶ月くらい経過すると気にならなくなることが多いといわれています。また、スギ舌下錠の場合、花粉飛散時期は副作用が増強することがあり、注意が必要です。

 

念のため、事前に抗アレルギー剤を処方しますので、副作用の症状が持続する場合は、まず抗アレルギー剤を内服しましょう。体調がすぐれない場合はスキップするなど、主治医とあらかじめ相談しておく必要があります。

 

また、他のアレルギー疾患を合併している方は、元々のアレルギー疾患の調子が悪くなることがあります。例えば、気管支喘息の方は喘息の発作が起こりやすくなったり、アトピー性皮膚炎の方は、皮膚の調子が悪くなったりすることがありますので、主治医と相談しながら進めていくことが大事です。

 

心配なことがあった場合は、病院へ連絡しましょう。生活スタイルにもよりますが、副作用のことを考え、何かあった場合に病院へ連絡、受診がしやすいように、慣れるまでは日中に服用することを勧めています。

通院頻度

  • ① 事前検査日
    (アレルギー検査、副鼻腔レントゲン、呼吸機能検査等 必要性に応じて)
  • ② 初回投与日
  • ③ 増量日(②から1週間後)
  • ④ ③から2~4週間後に再来

その後副作用等が落ち着いて安定したら、月に1回~2ヶ月に1回等の通院となります。当院で舌下免疫療法を導入し、落ち着き次第、通院しやすい処方可能なお近くの病院へご紹介することもできますので、ご相談ください。

期待される改善効果

早い方で4~5ヶ月後から、1年後には多くの方が効果を感じるといわれています。

約7割に有効性が期待されます。

平均して週に5日以上継続することができれば、1年目から効果が期待でき、1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と効果が上がります。服用を忘れる回数が多くなればなるほど効果の出現が遅くなります。

対象とならない方

  • 重症の気管支喘息患者
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 悪性腫瘍治療中の方
  • 自己免疫疾患など長期のステロイド加療を受けている方

舌下免疫療法を行う際の確認事項

  • 最低2年間(できれば3~5年間)週に5日以上を目標になるべく毎日施行できる。
  • 体調がいつも通りの日に行う。(疲れている日、風邪気味等の体調不良の日は行わない)
  • 服用前後2時間の運動、アルコール摂取、入浴を避ける。(副作用を防ぐため)
  • アナフィラキシー等の副作用が起きる可能性があることを理解でき、対処法が理解できる。(家族の協力も必要です)

さらに詳しく知りたい方は鳥居薬品のホームページ(http://www.torii-alg.jp/)をご覧ください。